前回、航空便に貼るシールが多いと申しましたが、実はもう一枚ありました。
「即日搭載承認貨物」シール。このシールが無ければ飛行機貨物に載らないのです。これは、あのアメリカでの9.11事件以来、日本でも貨物便などに行っているテロ対策です。
果樹園では皆この認証を受けており、「この荷物は安全です」との証です。事件からかなりの経ちますが、テロへの警戒は今も行われています。ただ、さくらんぼ2パック入れの小さな箱を送るとなると、これらのシールを貼る場所が無くなって困るんです。まさか底に貼るわけにも行かないしね。もし底に張ったら「底にシール張っています」というシールを貼らなくちゃならないのかなぁ。
先日、送り先が名古屋からお寄せられたクレームに「さくらんぼに打ち身のような痕がある」とのことで、運送屋さんと相談したところ、おそらく落とした可能性があると言うことで、再送することになりました。
いろいろお話をしましたが、「おいしいけどブヨブヨしている」ということも言われていました。
発送の場合、さくらんぼを受け取るお客様は全国に広がり、私たちには理解できない「さくらんぼに対する概念や先入観」を持っておられる方がおります。
「さくらんぼはある程度硬い」と思っている人にとって我々のさくらんぼは「柔らかい」。もちろん品種にもよりますが、「佐藤錦」だけをとっても、北海道は柔らかいのではないでしょうか。
たとえば「桃」は北海道の人は概ね柔らかく熟した頃食べますが、内地の場所によっては、柔らかくなったら熟し過ぎと敬遠される方もおります。
「佐藤錦」は完熟すると「柔らかく」なります!完熟したほうがおいしいし、熟さないうちは収穫しないのですから、当然贈られたさくらんぼは「柔らかい」のです。
さて、完熟すると痛み易くなります。衝撃ももちろんですが、高温や時間経過に弱いのです。そのため、本州への発送は航空便+クールを使用しています。
そのため、送り状・航空シール・クールシール・仙北果樹園シール・留萌営業所電話番号シール・お早くお召し上がりくださいシールと、荷物にはシールだらけになってしまいます。
クレームがくると、届先お客様が不愉快、依頼されたお客様が不愉快、私たちもがっかり、と誰も幸せになりません。十分注意しながら発送していますが、宅配トラックに積むときには祈る気持ちにもなります。
さくらんぼは雨が降ると実割れし、また長雨だと色艶もなくなり全く悪くなる。そこで登場したのが「雨よけハウス」だ。もう登場してから20年近くになると思う。その設備は単に野菜などで使われているアーチ型を長足で高くしたものだ。約4メートルのパイプの上をサーカスのように歩いて、透明のポリを張って、さらに飛ばないようにハウスバンドで固定する。ハンドの端はしばる。誠に原始的、しかも高所で危険。
もっと簡単に出来ないのか。アメリカではカーテンのようにサッと引いてテントをかけるというので壮瞥の果樹園青年部が視察したところ、もともとアメリカの産地は雨が少なく、日本に応用するにはちょっと向いていないとの事だった。
もともと「雨よけハウス」は雨の時だけ架かればよいのに、現在の設備では張りっぱなしで、内部は高温になる。できれば雨が上がったら被覆を解かれる仕組みがよい。
収穫時に雨を嫌うのは他にも「ぶどう」「プルーン」などたくさんあるし、広い場所に簡単に被覆できるようになれば、たとえばイベント会場などその用途は計り知れない。これで特許でもとったらワールドワイドなビジネスチャンスとなるだろう。
きっと世界中でこのような設備があったらなぁと思っているに違いないのだ。さくらんぼ雨よけハウスが登場して約20年。その原型は進化せず止まったままなのだ。
遠くの親戚や友人、お世話になった人に贈り物をしてあげたいとか、或いは贈り物の習慣がある日本人にとって、どうせ贈るのなら相手が喜びそうな物を贈っててあげたいと思うのは、至極自然であります。
そこで、ご当地の特産物ならばと言うことで、多くの方が「さくらんぼ」を贈りたいと思っており、来園されます。
宅配が進歩して荷物が日本中すばやく新鮮に着くようになりました。また、贈られる方は、新鮮について「あたりまえ」と疑いも無く信じている方もおります。
しかし、「さくらんぼ」はそうか簡単ではありません。幾年もクレーム処理に心を痛めた経験者として、申し上げます。「さくらんぼの贈りはむずかしい」です。
気候の涼しい道内ですと翌日到着でほとんど問題ありません。が、問題は内地です。気温35度ですと配達するトラックの荷台はサウナ状態でしょう。そんな中に涼しい環境で育ったさくらんぼが耐えられるわけありません。じゃー「クール」があるでしょう。わざわざ匿名の葉書で教えてくれた方もおりました。(直接言って頂ければ説明できたのに)
「クール」は未だ発展途上のサービスです。「クール」は大きな冷蔵庫に入れて運ばれますが、これが問題です。荷物が多くなれば当然上部に入れる大型の蓄冷剤をたくさんいれます。さくらんぼの箱は小さいため、その蓄冷剤(電気式のものは冷気噴出し)の直下に置かれることになり、この状態で長距離十数時間も置かれるとさくらんぼは凍ります。配達時には小分けされていますから、通常のクール温度で凍ったさくらんぼが解けます。
その際、さくらんぼは真っ茶に変色し、「腐っている!」とクレームになるのです。この場合は本来ならば運送屋さんのミスですが、お客様は発送果樹園が腐されかけたさくらんぼを送ったと思うのです。
今年は、クロネコが深夜フライトの超速便を飛ばし、夕方集荷しても関東ならば翌日と言うサービースが出来ました。さらにクールを加えて、出しています。この場合のクールですと、冷気にさらされている時間が少ないため、今のところ凍ったというクレームはきていません。
ロシアから舞踊団がやってきていて、留萌や増毛で公演します。その舞踊団が昨日さくらんぼ狩りにやってきました。木に成っているさくらんぼを見るのは初めてとの事で、一同感激し写真を何枚も撮って帰られました。入園時に通訳を介して質問を受けましたら「農薬使っていますか」と聞かれました。ロシアの人も農薬の事を気にしているんですね。「使っています!」と正直に言いました。もちろん安全ですとも加えておきました。
今日も雨でした。ごご一時的にあがりましたが、夕方また降りだしました。関東では猛暑とニュースで行っていますが、こちらは肌寒いくらいです。梅雨前線が北海道にも影響し、停滞しているのが原因ですが、さくらんぼにとっては大迷惑です。
また、お日様の姿を見ていないような気がします。増毛アメダスデータによると、7月に入って今日までの日照時間はトータル23.1時間です。日の出日の入りが朝4時?19時としますと、現在の日の出るのは一日15時間となりますので、これまでに晴れたのは一日半って事になり、あとは曇っているか雨が降っているかです。これでは光合成を商売としている植物にとっては、エネルギー不足というほかありません。事実、さくらんぼは正直言って例年より甘くなっていません。もうどうか晴れてください。
昨日の曇りに続き今日はまたもジリジリ雨。露地のさくらんぼは佐藤錦水門などはほぼ割れました。
チョッと位なら何とかなるとエネルギーも沸いてきますが、こんなに天気にいじめられると、諦めというより開き直りの感情がわいてきます。
今日午後から雨上ったものの7月に入って晴天が無く、気温も夏らしくないすごし易さ。しかし、湿度が高く心の中も湿りがち。
ハウス内さくらんぼは割れてはいないけれど、6月の水分不足が響いて、玉の大きさがイマイチ。
今年はさくらんぼにとって悪い年となっています。残る希望は7月後半の「南陽」かぁ?
今日の増毛町は台風崩れの低気圧の影響で雨。それもジリジリ降っている。この状態はさくらんぼにとっては最悪の天気。降るなら降るでバーッと降ってサッと晴れるのがベストなんだけど、このようにジメジメは、露地さくらんぼに付着した水滴が果実内に浸透し割れる。さらに高湿高温だと病気の発生しやすい好条件。割れたさくらんぼが腐りだす。さらに病気が蔓延する。雨よけハスウ内でも高湿度だと影響が少なからず出る。というわけでこのような優柔不断なジリジリ雨はさくらんぼにとって一番いやな天気なんです。
さくらんぼ収穫期に入ると気になるのが天気。雨よけハスウがあるとは言え、まだ全て設備しているわけではないため、雨が降ると実割れの心配をする。そこで欠かせないのが天気予報であります。携帯ラジオでは頻繁に最新天気予報をたくさん流してくれています。
しかし、「雨が降りますから傘を忘れずに」とか、相対するアナウンサーやパーソナリティーまでもが、「傘を持っていったほうが良いですね」といったのんきな世間話をする。
北海道は押しも押されぬ農業国。天気によって農家は一喜一憂する。晴れていれば良いってもんでもない。農家からすれば欲しい情報は、どの時間帯で降るのか、どの程度の量が降るのか、どのくらいの時間降るのかといったことである。都会生活者にとって雨が降って衣服が濡れることは相当重要かもしれないが、降雨は農家にとっては「生活」がかかっている重要な事であるのだから、私などは「傘が必要」と聞くと、こののんきな薄っぺらい情報に怒りたくなるのです。
どうかもっと高度な天気予報情報としてほしいものです。
乗用草刈機を購入。これまでこの手の小型草刈機は、バロネス?>オーレックとありましたが、これらはハンマーナイフと言うタイプで、草をむしり取るように刈って行くものでした。当果樹園ではトラクターに取り付ける川南式モァがかなり前からあり、小型草刈機はほとんど出番がありませんでした。しかし、雨よけハウスが増え、どうしも筋のように刈り残ってしまう部分があり、これまでは諦めていました。しかし、やはりきれいに刈りたいし、他の多くの果樹園に入っている乗用小型草刈機がうらやましく見え、思い切って古い小型機を処分し新たに購入しました。筑水キャニコム製「草刈機まさお」です。15馬力ですが、V2気筒垂直に出力されるタイプのエンジン搭載。さっそくハウス内や、道端の草を刈ってみました。この手の機械はやはり「慣れ」が必要で、時々「アレアレ」と止まらず焦る場面もありました。石を案の定跳ねてしまい、カバー部分に傷を付けてしまいまして、新車で入った途端にその価値は下がってしまいましたぁ
カラスや小鳥からさくらんぼを守るため、あちこちに爆音器を置いています。果樹園に来るとあちこちから「バーン!」と聞こえてきます。
この器械は昔からあります。その昔は燃料はカーバイトです。カーバイトは水を加えるとアセチレンガス(不正確かも)を発生させます。圧力が高まると爆発筒へ送り、着火させます。カーバイトは息苦しくなるような独特の臭いがあって、さらに水が切れると鳴らないなどなかなか厄介でした。
現在はプロパンガスです。原理は前者と同じ方式で、着火方法はプラグを使うようになったくらいです。
昨日、この最新版の爆音器「バードキラー」を買いました。約5万円もするので、一年に1台づつ買って、これで3台目です。これは燃料はプロパンですが、着火方式が完全電子化されていてます。電池をいれますが、暗くなると自動で鳴らなくなり、夜の止め忘れによる近所迷惑から開放されます。また、明るくなったら自動で鳴り出しますので、朝早いカラスも撃退します。点火も電子式で、一度に数回火花が出ますので、着火ミスもなくなります。
しかし、こんな爆音器ですが、カラスはすぐに慣れます。気休め程度の効果しかないかもしれません。ただ、有害駆除により、鉄砲に撃たれかけた経験を持つカラスはかなり警戒します。爆竹音でも逃げ出します。
この憎っいカラスとの戦いはこれからも続きます。
今年4月から消費税を含んだ価格表示が義務付けられました。当果樹園では以前から内税として直売していましたが、スーパーなど卸値は外税としていました。
それが、スーパーは総額表記となったことから、例えばこれまで外税498円だったのが、522円と表記しなければならず、500など区切りの良い数字を超えると消費者に対し割高感を与えるということで、多くの小売量販店は内税でも498円として実質の値下げで売っています。
小売店はその値下がり分をすべて被る訳でなく、その分仕入れも内税で購入しようとするのは自然の流れです。
そこで、一番のしわ寄せは我々生産者ということになり、青果物は相場物ですから、一概には言えませんが、これまでより5%値段が下がりました。
おそらく、消費税が5%ですから、「仕方ない」と諦めている業者が多いと思いますが、今後消費税が諸外国のように10数%などとなった場合は耐え切れません。その場合はおそらく内容量を抑える方向に向かうと思います。消費者にとってそれが良い事なのかは私には判りませんが、総合的なサービス低下要因になりかねないと危惧します。