遠くの親戚や友人、お世話になった人に贈り物をしてあげたいとか、或いは贈り物の習慣がある日本人にとって、どうせ贈るのなら相手が喜びそうな物を贈っててあげたいと思うのは、至極自然であります。
そこで、ご当地の特産物ならばと言うことで、多くの方が「さくらんぼ」を贈りたいと思っており、来園されます。
宅配が進歩して荷物が日本中すばやく新鮮に着くようになりました。また、贈られる方は、新鮮について「あたりまえ」と疑いも無く信じている方もおります。
しかし、「さくらんぼ」はそうか簡単ではありません。幾年もクレーム処理に心を痛めた経験者として、申し上げます。「さくらんぼの贈りはむずかしい」です。
気候の涼しい道内ですと翌日到着でほとんど問題ありません。が、問題は内地です。気温35度ですと配達するトラックの荷台はサウナ状態でしょう。そんな中に涼しい環境で育ったさくらんぼが耐えられるわけありません。じゃー「クール」があるでしょう。わざわざ匿名の葉書で教えてくれた方もおりました。(直接言って頂ければ説明できたのに)
「クール」は未だ発展途上のサービスです。「クール」は大きな冷蔵庫に入れて運ばれますが、これが問題です。荷物が多くなれば当然上部に入れる大型の蓄冷剤をたくさんいれます。さくらんぼの箱は小さいため、その蓄冷剤(電気式のものは冷気噴出し)の直下に置かれることになり、この状態で長距離十数時間も置かれるとさくらんぼは凍ります。配達時には小分けされていますから、通常のクール温度で凍ったさくらんぼが解けます。
その際、さくらんぼは真っ茶に変色し、「腐っている!」とクレームになるのです。この場合は本来ならば運送屋さんのミスですが、お客様は発送果樹園が腐されかけたさくらんぼを送ったと思うのです。
今年は、クロネコが深夜フライトの超速便を飛ばし、夕方集荷しても関東ならば翌日と言うサービースが出来ました。さらにクールを加えて、出しています。この場合のクールですと、冷気にさらされている時間が少ないため、今のところ凍ったというクレームはきていません。