amazonをさまよっている内に見つけた本奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録を読みました。リンゴの無農薬栽培なんて不可能というのが我々果樹農家の常識ですから「我々と敵対するとんでもない本が出ている!」と早速注文していました。
私がりんごの無農薬栽培で思い出すのは約20年前、仁木町で無農薬栽培を取り組んだ隣の果樹園を訴えた事件がありました。その後に和解勧告されたと思いますが、その後無農薬栽培リンゴ園がどうなったのか私は知りません。
さて、本書は今年出版されていますが、内容はNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で2006年12月に放送されたようです。私は見ていません。
私の読後感ですが、木村秋則さんと正反対の慣行農業をしている私でありますが、正直言って木村さんを応援したい気持ちになりました。だからといって私もしくは我々がすぐに無農薬栽培に取り組めるかといえば、それははるか高い高いハードルが立ちはだかっていると思います。しかし、リンゴに限らず現代の合理的な作物栽培法はいつか破綻するかも知れないし、石油によって延命されているだけの事かも知れないと著者石川氏は教えてくれています。私もその通りだとお思いました。
明治の頃には農薬が存在していなかったわけですが、無農薬栽培する木村さんの栽培は単に時代を戻ったと思われるかも知れませんが、そんな事は全くなく、木村さんの挑戦は科学であり、むしろ未来を掲示しているのではないかと思いました。
「無農薬リンゴなどできるわけが無い」とは果樹業者であれば常識中の常識でありますが、果樹業者であればなおさらこの本の一読をお勧めします。もちろん、木村さんのような真似は出来ないですけれど、木村さんの心意気を垣間見ただけでも励みになります。
またより専門的にこの農法を知りたい方はこちらの本「自然栽培ひとすじに」が参考になるかも。いずれ読んでみようと思います。
12月 132008