本日10月8日午後4時、増毛町元陣屋にて、増毛町漁組藻場づくり10年周年を記念して講演会が開かれ、内外から約百名が集いました。増毛町の前浜は日本海沿岸各所と同様、磯焼けが進んでおりました。なんとか昔の豊かな前浜を取り戻す施策をと増毛漁組では10年前から海へ合法的に醗酵漁粕の投入を試みていたのでした。
今日のイベント内容は、まずこれまでの漁組の取り組み報告の後、某鉄鋼会社の藻繁殖に関する研究実績発表。その後、北海道大学の本村泰三氏による「藻類」のお話を伺いました。
「藻類」は生育段階で配偶体の時、卵子と精子による受精により昆布などの藻類が出来る事などは、私は初めて知りました。地上植物は「高等」と良く言われますが、海洋植物が決して下等ではなく、多様化しているそうです。しかしながら、それらの研究は立ち後れていることから、もっと海洋植物の基礎的研究が進まなければならないと、本村先生は訴えておりました。それらの研究は今後の地球温暖化解決などにも直結するらしです。
さて、今回のイベントでメインは畠山重篤氏の講演です。「森は海の恋人 (文春文庫)」の著者です。彼は気仙沼で牡蠣を養殖する漁師さんです。牡蠣の生育悪化の原因が山にあるのではないかと着目し、20年ほど前から山に植林する活動を始めました。
北大の松永勝彦さんと出会い山と海の関係が密接であることを確信したわけです。
山の落ち葉が堆積して腐葉土となりその課程で、土の鉄分がフルボ酸鉄となって雨によって海に流され、その鉄分が海草の生育に欠かせないのです。山や川の開発が進んで、山に広葉樹がなくなり川はダムが造られ海岸は護岸された現代、山からのフルボ酸鉄の供給が途絶えたために磯焼けが進んだらしい事がわかってきました。
畠山氏は講演で、漁師であっても「化学」を知らなければいけないと訴えていたことが印象的でした。
私が何故この件に詳しいかと申しますと、施肥事業のパンフ作成に私が携わっていたからです。なにを隠そう、今回のポスターの図案の「蘇る」を思いついたのは私なのでした。山に草や野木が帰って来ると魚が帰ってくる、すなわち浜が「蘇」るのキャッチを考えたのが私なのでした。
磯焼け解決には「鉄」が切り札となることから、鉄の専門会社もこの研究を進めています。
今回のイベントはイギリス系のテレビメディア「Green.TV」のスタッフも同行取材しており、もしかしたらネット配信されるかも知れません。
講演終了後は留萌のホテルに場所を移して、晩餐会と言うか打ち上げが行われ、鉄鋼関係者や漁組関係者を交えて増毛食材でのパーティーが開かれ、それぞれ交流を深められました。
10月 082007