4月 162005
 

4月14日に被害がすごかったので、ネズミ捕りを仕掛けました。いつもは「パンチュウ」を使っています。次の日に捕獲成功しましたが、すでにトンビかキツネに食べられていて、挟まった部分だけが無惨にも残っていました。
 被害樹が多いので、まだネズミが居るだろうと、金網式の捕獲器も仕掛けたところ、今朝、かかってしまいました。ネズミの体長は約尻尾抜きで10センチ程度かな。人間社会で暮らすネズミよりやや小さいか。頭の形が正面から見て三角形というかエラが出て、樹の厚い皮をかみ砕く筋力が備わっている感じです。
 しかし、捕まえてみるとあの憎き行いのわりに、姿は意外にかわいいと感じるのは私だけでしょうか。ネズミの種類はなんと言うのでしょうか?
 処理方法ですが・・・・うーんと、そのまま水に沈めて息の根を止めるのが良いと思いますが、私、最近、飲み会などで戦争時の残虐性など熱く語る機会があって、とても、同等の惨い事が出来ずにいます。かといって逃がすわけにも行かず、仕方ないのでそのまま現場に放置して来ました・・・。

4月 142005
 

 さくらんぼの圃場へ行ってみると雪解けが進み、根際の土が見えてきました。しかし、この時期になるとネズミが悪さをします。油断していたら、何本ものさくらんぼにネズミ被害が出てしまいました。
 ネズミは雪の中にトンネルを掘って移動します(写真にも写っています)。樹をかじるネズミの種類までは分かりませんが、写真のように皮の部分だけを削るように食します。いや、食べるのはほんの一部で、たぶん歯を鍛えるために樹皮をかじっているものと推測されます。
 樹というものは、樹皮が生命維持の要です。木質部は例えると骨であり、人間の血管などに相当するのは皮です。ですから、皮が周囲ぐるりとネズミに食われると、その樹の生命は絶たれます。写真の樹は、根際外周のほとんどを食害されましたので、残念ながら倒木しなければなりません。この畑での被害は他に10本ほどやられました。さらに広がらないように、ねずみ取りを何カ所も仕掛けましたが、果たしてかかるのやら・・・・

4月 122005
 

今剪定している圃場は、雑木林(急傾斜の沢状)が近いのです。そこで、父は、カナダで有名なメープルシロップの原料であるカエデの樹液を採取してみました。写真のように細工しましたが、今時期ですと盛んに水が上がってきて、短時間でも採れるのですが、なぜか今年はその勢いがないのです。
 たぶん、去年の台風により、根が傷められたか、はたまた台風により9月で葉がかなりのダメージを受けたため、樹勢が落ちている為と思われます。
 そー言えば、りんごなどの剪定時、鋸や鋏を使っていると「渋」が付着します。「渋」が付くと鋸の押し引きがきつくなります。しかし、今年はその「渋」の付き方が少ないように感じるのは私だけでしょうか。・・・フジモリ果樹園ブログ参照

※上部ブログ表題の写真を入れ替えました。暑寒別岳はまだまだ冬ですが、日が当たると斜面がまぶしく反射していますので、少しずつ雪が解けているようです。

4月 092005
 

ここ3日ほど天気が悪いです。雨だったりみぞれだったり。しかし、体感は寒く感じますが、降雨により融雪が急激に進んでいます。
 果樹園の場所によりますが、概ね30?70センチ程度と思います。写真は奥の圃場で比較的雪が多い場所です。沢沿いの雑木林の根際は土が見えていますし、雪解け水が盛んに流れ出ています。
昨日の道新やテレビのニュースで、余市・仁木町では枝が融雪で引き裂かれる雪害がひどいと報道されていました。仁木町(勝浦果樹園ブログ)によると、2メートル近く降雪したらしく、ブドウ棚が全面覆雪したようですが、増毛では、例年よりも多雪でしたが、ブドウ棚の一部に雪が被ったものの、被害は深刻なほどでは無いと思います。まぁ多少りんごやサクランボの枝が折れていますが、私の果樹園ではたいしたことは無いように思います。

4月 062005
 

 本日午後、南るもい農業協同組合(JA南るもい)第3回通常総会が増毛町で開かれました。JA南るもいは、3年前に小平・留萌・増毛の各農協が合併して出来た広域農協です。第1、2回の総会は小平町で開かれましたが、今回は増毛町での開催となりました。今後は各町村を持ち回りで総会が開かれるようです。
 今日の総会では、一部の定款変更や平成16年事業報告、平成17年度事業計画など12の議案が用意されています。
 さて、議長ですが、これからは開催地の人に務めて欲しいとの理事者の希望があって、組合長が一時的に務めた仮議長より、なんと、私が任命され承認されてしまいました。
 私は、前日に一応のレクチャーを受けていましたが、まぁなんとかなるべとタカをくくっていたものの、良い睡眠がとれず、朝から頭がぼーっていうか、水分をとらなきゃどこかの血管が破裂するのではと思うくらい緊張しているのがわかりました。
 さて、議事進行ですが、議長席に座ってみると、来場者約100名はほとんど増毛町の組合員で、いささか安心。組合員数が多い小平や留萌からの来場者はほんの一握りで、ほとんど書面議決となったようです。また、前回のように不祥事等の出来事が無く、農家仕事を優先したもようです。
 私は議事をなるべくハキハキと進めようとしましたが、例によってロレツが回らない場面もあったりしました。まぁそこは声の大きさで何とかカバーし、約2時間の審議を無事に終えることが出来ました。
 最後の挨拶まで考えていなかったので、出任せ挨拶となりましたが、FM緑の風通信の番組宣伝をちゃっかりしっかり加えて終えました。まぁ、今回の議長という大役は、緊張疲労しましたが、良い経験となりましたし、なによりFMのネタも一つ増えましたので、良かったかと思います。・・・・来場者は違うかも・・・・尚、写真は組合長の挨拶映像です。私は議長でしたからいくら何でも撮影まで出来ませんでした。

4月 032005
 

2005-04-03.jpg このブログの2月24日分の書き込みで紹介した(有)中札内レディースファームが今日のTBS18:30からの「夢の扉」で放送されました。
 日本で唯一「無殺菌牛乳」を製造している会社です。放送では、牛にストレスを与えないようにしている事や、徹底的な牛舎の衛生管理、そして何より保健所許可の苦労などが描かれていました。社長の長谷川さんの牛に対する優しさが伝わってきました。2月23日の札幌でのトップセミナーの映像はカットされていました。
 この番組で無事に放送されていると言うことは、なんとかピンチを切り抜けたのでしょう(表現が悪いですが)。
 世の中、「良い物は必ず売れる」とは限りません。たとえば歌手は、いくら歌がうまくても売れる事は少ないです。商品も「良い物」だからといっても「売れる」までには、消費者の高い評価と理解を得なければなりません。それには、やはり「生産にたずさわる気持ち」やその人の「考え方」「思い入れ」「作業状況」などの情報を発信する必要があります。私も長谷川さんの姿勢を見習いたいと思いました。
 私はまだ「思いやり牛乳」を飲んだことありませんが、是非飲んで見たい一品となりましたし、HPのソフトも食べてみたいです。

3月 302005
 

 ご近所のS果樹園は、園主が病気療養中のため今期の剪定が出来ないでいます。そこで、今日、各果樹園から20名が集まって剪定のお手伝いをしました。取りかかったのはまずサクランボ。コルト台の樹はそろそろ芯の上部を切り落とす時期に来ていまして、本当はこの判断は園主がすべきですが、おのおのの判断で切り下げました。
 枝きり講習会ですと、数名が剪定の実演をして、あーでもないこーでもないと語り合うところですが、今回はもくもくと剪定をします。2,3名が一組となって一本の樹を切りますが、切り処を迷ったときは相談しながら行えます。作業は一気に進みますが、剪定は個性が特に出ますので、枝の多い人、少ない人など様々でした。
 午後からは洋なしやリンゴの樹も切りましたが、やはりこれだけの人数がいるとハカどります。ときおり、たぶん一人でやっているとくじけそうになるくらいの吹雪もありましたが、そんな天気も跳ね返す勢いで作業は進みました。たぶんほとんどの人が、自分の畑で剪定しているよりもはるかに疲れたと思います。

3月 202005
 

 一昨日の雨により積雪は急激に沈下しました。これで積雪は1メートル位になったかと思います。
 ぶどう棚の針金が一部雪で被われていて、このまま雪が沈下すると針金が切れるので、針金を引き上げました。増毛では今年の積雪で棚の一部が覆われたものの、仁木町では2メートルの積雪で完全に雪で覆われてしまったようで、こうなると針金があちこちで切れるので、修復が大変となります。増毛ではそこまで深く積雪が無かったのが幸いでした。 
 さて、今日も剪定作業をしています。写真はプルーン(サンプルーン)の状態です。我が家でのプルーン栽培は北海道でも早くから植栽しています。樹は大きくなって高さも4メートルを超えていまして、これを剪定で何とかしたいのですが、思うようにいかず、ジャングル状態となっています。クロさんのアドバイス求む!です。
 仕事中はラジオを聞きながら作業していますが、午前中、福岡を中心とする地震のニュースが流れてきました。まだ被害の全容はわからないようですが、被災された方にお見舞い申し上げます。

3月 112005
 

 増毛町の果樹が毎年のように結実するのは、花時期に導入しているミツバチのおかげです。このミツバチは「まつやま養蜂園」所有です。ミツバチ巣箱を果樹園内に搬出搬入作業は果樹協会青年部が中心に行なっており、もう何年も経ちます。ミツバチは春、鹿児島から北上し秋に帰るのです。青年部は「このミツバチ達は鹿児島から来ている」のは知っているのですが、一体どんなところなのか一見するのが夢でありました。
 その夢がこの度やっとかなったのです。 まつやまさんの故郷は知覧町。薩摩半島の南はずれに位置しています。主な産業はお茶や畜産を中心とする農業です。知覧町は大きな川が流れていないため、何10キロも離れた池田湖よりポンプアップした水をタンクへ貯蔵し、用水として活用しています。お茶は、一番茶が高級なのですが、鹿児島といえど春先は霜の危険が大きく、霜対策の為の扇風機があちこちに設置しています。最近はもっと有効なスプリンクラーで散水するシステムに移行しつつあります。
 お茶は土づくりが重要で、たくさんの堆肥を必要とします。知覧町は畜産もさかんで、その糞を堆肥にまわそうとするのは当然でしょう。私達は堆肥化するリサイクル施設を見学しました。ここは、大きな施設で、原料は主に鶏糞を堆肥化しているそうで、各養鶏所から運ばれた鶏糞は、攪拌、水分調整、ブロアーなどの工程で醗酵させて堆肥化して、各お茶農家へ販売しています。原料はこのご時勢なので、タダ。製品化した堆肥は手ごろな価格で販売されるため、知覧町内で完結していて、理想的なサイクルで農業が回っています。
 お茶は、近年のペットボトルブームで、3番茶などこれまで比較的程度の低いグレードでも需要があるとの事で、お茶農家ははっきり言って「儲かっている」との事でした。知覧は一軒当たりの畑所有面積が大きく、目だった傾斜地も無くて多くが機械化されています。「お茶は静岡だ!」と先入観を持たれている方も多いと思いますが、表示のうるさくなっているこのご時勢です。きっと益々知覧をはじめとする南薩摩地方のお茶のシェアは増えていくことでしょう。

3月 072005
 

今日から3泊4日で旅に行きますので、書き込み出来なくなります。
旅の報告は帰還してからになりますのでご了承ください。

3月 062005
 

2005-03-06-2.jpg  仁木町の勝浦果樹園がついにWEBLOGを開設しました。早速当ブログ右下の果樹園ブログへ追加リンクをしました。
 勝浦果樹園はこれまで、「エンピツ」や映像日記などCGI系で情報を発信していましたが、やっとMovableTypeへと移行しました。これにより、これまでのフジモリ果樹園や山中果樹園との果樹園相互のコメントやトラックバックなどのやりとりが活発化しそうです。
 道内果樹園でまだHPをお持ちでない方、無料のブログを活用することで簡単に情報発信が出来ますので、是非トライされることをお薦めします。
 ブログは、簡単に誰でも持てる時代になり、これまでのマスコミ中心の「世論」から、各個人の思考発信による、もしかしたら本来の「世論」の形成を担う要素を持っています。また、ネットですから、これまででしたら本をたくさん読まなければならなかったものが、簡単にリンクしたり、画像・映像・音声でグローバルに情報をやり取りできるし、各ブログがトラックバックやコメントで結ばれるので、真に新しいメディアになっています。これからも続々ブログは誕生するでしょう。ドックイヤ?と呼ばれるこのIT世界で、「どうしようか」と悩んでいるのでしたら、一刻も早く自分なりのブログを立ち上げて見てはいかがでしょうか。

3月 032005
 

 本日、果樹青年部が中心となって剪定講習会が開かれました。わざわざ長沼にある中央農業試験場から専門技術員の黒川さんらに来町してもらい、サクランボの枝きりを見せて頂きました。
 剪定は、毎年の作業ですが、同じ形の木は二つとしてないので、講習会は毎年のように行なわれています。黒川さんは「剪定」は、?太陽となって光になって見る ?水になって養分の流れを感じる ?SSや脚立や草刈機など作業機となって、邪魔になるのかを感じよ と申しておりました。なるほどぉ
 午後からはいわば学科。去年とった果樹園のパートさんへのアンケート結果などを分析。若干頭の痛くなるようなお話もあって、やや反省。
 このブログは、北海道関係者(普及センター等)の方もたくさん見ていただいているそうで、この場を借りてお礼申し上げます。

3月 022005
 

 ここ数日天気が悪いです。今日も朝10センチオーバーの雪が降りました。暖気の様子無く、雪は比較的柔らかく積もっています。
 札幌では多雪のニュースがながれていますし、仁木余市では、2メートル近く積もっているらしい。それに比べると我家近辺はかわいいものかなぁ。しかし、1メートル50センチ程度の積雪です。葡萄の棚は、約1.7?1.8メートルで、地形や支柱の低いところでは、針金が雪に埋まっています。
 雪解けのメカニズムは良く判りませんが、このまま針金が埋まった状態で、融雪を迎えると、上に乗っかっている雪は氷状に固まり、雪解けとともに針金を取り込んだまま沈下します。針金は耐えられずあちこちで切断する羽目になります。
 そのため、まだ雪が柔らかい状態のとき、針金を引き上げておくと良いのですが、雪がこれ以上降って全面を覆うようになれば、たぶん、手のつけようが無くなるかもしれません。あと20センチで、全面積雪となりますぅ。やばい。
 やばいのはりんごやサクランボの下枝です。多少は毎年のことなのでだいじようぶですが、それでも積雪が多くなると、ぶどう棚の針金と同じ原理で、下枝が地面まで引っ張られ、枝の付け根辺りから引きちぎれることになります。
 もう3月なのだから、雪降るのはそろそろおしまいにしてはいかがでしょうか?

2月 272005
 

2月23日のセミナー続きです。

  第4講演は「ファームレストランに夢をたくして」と題して長沼町、有限会社クレスガーデンの干場氏でした。干場氏はもともと札幌のスーパーマーケットに勤務していた。スーパーは大量に規格統制する事でコストを下げで販売することが出来る。しかし、ダイエーが傾き、ヨーカドーも順位をさげるなど、スーパーのあり方が変化している。
 そんな中、息子の独立するのをきっかけに、札幌にレストランを開業した。札幌で、駐車場もままならないことから、2号店は長沼に移住し、スーパーからレストラン経営に転職。メニューに特色を出すべく、地元産の野菜を中心としたファームレストランにした。また、自前の野菜も使っている。スローフード、地産地消など現在で注目されており、メニューも評判が良い。
 コンビニが販売額を伸ばしている。しかし、生鮮はコンビニにとっては大の苦手とする分野だ。それは、第一「腐る」第二「規格統一が難しい」と言うことだ。野菜や果物は生き物であるため、同じ種目でもそれぞれに違う。まさにローカリズムである。生きているものを長距離の輸送は土台無理なのだ。
 今後の会社の戦略として、小さな直売所を設けて、レストランの食材を売って行きたいとのことだった。

 2日間にわたって行なわれた「農業経営トップセミナー」はこれで終了。午後から、同じ場所で、「消・農交流会」が開かれたました。こちらは参加費も無料だったので、どんなものか入ってみました。「2005/食・健康・環境」をテーマに、生産者と消費者のパネルディスカッション形式で行なわれました。

 生産者側からは、道内の農業生産法人の代表13名と、消費者側は江別や岩見沢などの消費者協会や雑貨店主など13名がパネラーとなり、お話が進められました。
 生産者側には、以前このブログで紹介した有限会社山崎ワイナリー、留萌管内からは有限会社無限樹なども参加しておりました。また、来場者の中には壮瞥町有限会社アグリエイトHP-こちら-の長内さんもみえておりました。
 話題として、消費者からは食べ方などもラベルに入れると良いのではとか、情報をもっと発信してはなどの意見が出されていました。また、トマトの甘いのは今後も作るのかとの問いに、生産者側からはケースバイケースで、答えられないとの意外な反応。と言うのも、品種もたくさんあるし生食、加工、輸送手段など、すべてに扱いが違うので一概な答えが出ないとのことでした。
 私が見ている範囲では、生産者側は生産から消費までを一貫して管理する意識の高い方がほとんどだし、消費者側も知識の多い方ばかりなので、双方発言する方角が一緒になり、討論にはなりませんでした。また、いくら生産者側から情報を発信しても、受け取る方は、あふれる情報を精査しなければならないため、その労力を惜しまない余裕があるのだろうかと私は疑問に思いました。
 ある消費者側の人が「息子の友達は一人暮らししているのだが、そこにはヤカンも無い。つまり、今の子供達はカップラーメンも作れない」とか、今の若い人は「缶きり」を使えないなどの発言があり、そこまでいくと、もはや生産とか消費の問題以前に、家庭の子育ての問題ジャーないのかなと思いました。ヤカンを持たない人に、栄養バランスだとか、こだわり牛乳とか提供したところで、ほとんど無意味であると思う。
 生産者は、いろいろ苦労してより良いものを、消費者の満足してもらえる物を提供しようと努力しているのだから、理解していただける消費者だけに買ってもらいたいと思うのは、私だけではないと思います。
おわり

2月 242005
 

2月23日はセミナー2日目第3講演をレポートします。

 「新規就農から次の飛躍をめざして」と題して有限会社中札内レディースファーム代表長谷川氏の講演は、とかくこのような会でありがちな「成功例」ではなかった。彼はまさに現在進行形で存続の格闘中であり、しかし、そのユニークさは他に例を見ないものだ。現在51歳で会社は酪農だ。関西出身。一時農業にあこがれるも何度か断念。職をいろいろ変えた。ある商社では、20歳代で店長になり、慢性赤字部所であったが、持ち前の度胸で顧客を開拓し、黒字にこぎつける。しかし、他からのねたみもあって転職。病院事務などもやった。彼はいろいろ職を変えたが、すべて現在に役に立っているという。「レディースファーム」の名づけは、女性でも好きであれば農業が出来る!との思い。
 女性が新規に農業を職業として選ぼうとしたとき、手っ取り早いのは農家の嫁になる事だ。しかし、それで本当に幸せかと疑問を持つ。誰でも性別も無く平等に職業を選んでよいはずだ。そこで、長谷川代表は、「嫁」にならなくても能力次第でだれでも農業を選べるようにと、法人化にしたという。
 しかし、いざはじめると大き目のトラブルが発生、結局「じゃーみんなでやめようよ」と一斉に従業員がいなくなり、一人で24時間働た経験談を話していただいた。理想と現実のギャップはまだ大きい。
 長谷川さんは、誰もやっていない「無殺菌牛乳」に挑戦した。ドイツでは給食に使われている無殺菌牛乳だが、日本では認知度はゼロだ。酪農家でさえ、自分で搾乳した牛乳は一度沸かしてから飲んでいるくらいだ。しかし、熱殺菌をすると牛乳成分が変化し、味、栄養摂取割合、有用微生物の低下が避けられない。生で飲むことが出来ないのは、雑菌混入があるからであって、これを徹底的に抑えれば、熱殺菌しなくても飲むことが出来るし、栄養成分や本来の味も損なわれない。それには、牛や牛舎の徹底的な洗浄をする必要があり、ビン詰めも無菌室の工場が必要になる。
 それらをクリアしても尚、販売するには保健所の許可が不可欠。しかし、前代未聞の挑戦は簡単なものでなかった。3年の歳月とのべ1000枚を超える書類を書き続けて、ビンの大きさなどの条件付であるが、販売できるようになった。
 しかし、これだけの労力をかけて商品化した牛乳も、利益を出すためには、相当数を売らなければならない。そこで、わずかに宅配していたのに加え、商社に委託した。これだけの自信作が売れない訳が無いと誰しもが思っていた。だが、商社の強気の販売戦略が失敗。長谷川さんの会社は窮地に追い込まれている。やはり、自分で売ろう!。
 彼は、新規就農時も実習時も地元同業者からも大きな心の支援を受ていた。その恩返しをする意味でも、ここでつまずいてはいけないとの強い思いがある。今彼は、東京や大阪へ飛びまわり、一からセールスして回っている。
 彼の模様は、テレビで追跡取材されている。4月3日18時TBS「夢の扉」で放送予定だ。

づづく

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