6月 052005
 

 今頃の果樹園の仕事は、りんごの摘花ですが、そちらは出面さんに任せて私はさくらんんぼ雨よけハウス増設工事をしています。
 増毛町での雨よけハウスは、1978年に初めて導入されましたが、当果樹園でもその翌年(?はたまた翌翌年)に導入しています。徐々にその面積を増やしていましたが、まだ完全に被覆できないでいます。
 と言うより、現在のさくらんぼ雨よけハウスは、通常のビニールハウスの足長状の物であり、ビニール被服作業などは、地上4メートルのパイプを渡る、危険と隣り合わせの代物です。この技術の進んだ世の中なのに、この雨よけハウスは、全くの原始的な構造です。アメリカでは、カーテン方式で、さーっと被服できるそうですが、もともと小雨のアメリカ。日本には適さないようで、誰もアメリカ方式を導入している人はいません。
 雨よけは、そもそも雨降りの時だけ被服出来れば良いのですが、このアーチ状に括り付ける方式ですと、さくらんぼ収穫終了までの1ヶ月はかけっぱなしとなります。
 雨よけが導入されて20年以上経ちますが、その基本構造はまったく進歩なく、未だに「命がけ」の作業を強いられています。何か良いアイディアが出るのかと期待していましたが、まだ新方式なる物は開発されていません。
 さて、今年もその技術更新の無いまま、仕方なく従来方式で、雨よけハウスの増設を進めています。建設は今のところ私一人で行っているため、その建設スピードは至極遅く、まったくハカ行きません。果たしてサクランボ収穫まで、計画通りのハウスが完成するかは今のところ未定。なんとかがんばりたいと思っています。が、昨日の夕方と今日の夕方が霧雨となりパイプが濡れ、足下が滑るし軍手はびしょびしょとなったことから、作業は中断しなおさらハカ行かない状態です。

6月 022005
 

 りんごの花が咲いています。暖かくなり、ミツバチの他にマルハナバチの姿も見ました。
 りんごの花は通常一カ所の芽(花そう)に6つの花が咲きます。花びらは5枚。
 写真のように中心に一つの大きな花を取り囲むように5つの花がつきます。真ん中の花は「中心花(ちゅうしんか)」、周りの花を「側花(そっか)」と呼ばれていて、中心花は側花よりも数日早く咲き、花も大きいです。この時間差は、おそらく霜の被害をうけても大丈夫なように側花がスペアの役目を果たしていると考えられます。
 しかし、はやり中心花は花も大きいし、結実しても側花の実よりも品質が良いので、果樹園では、中心花を大事にしています。また、すべての花で結実した場合、団子状にりんごが実り、お互いが小さくなったりするので、結実後は実スグリ(摘果)を行うことになります。
 りんごの花は品種によって花びらに多少の色つき具合が異なります。私が思うに、花で一番奇麗なのは写真の「コックスオレンジ」です。この品種はジュース用のため、他の果樹園にはほとんど無いと思います。当果樹園でも数本しかありませんが、この品種の花は花の大きさや色が良く、とても美しいと思います。

5月 312005
 

 フィリピンに旧日本兵が生存しているらしいニュースが入っています。20年前には中国残留孤児の話題が席巻しておりました。
 さて、おとといミツバチを一旦果樹園から搬出しました。夕方6時過ぎでしたが、その時はまだ明るく、蜂は活発に動いておりました。しかし、すべて帰ってくるまで待っているわけにもいかず、さっさと蓋を閉めて巣箱を持ち出したのです。そう、まだ帰ってこないたくさんの蜂をやむなく置き去りにしたのです。残留孤児ならぬ残留孤蜂。
 そもそも帰りの遅い蜂たちは、働き蜂の中でも働き者に違いありません。彼らが帰ってきたときには、すでに帰るべき巣箱はもうそこにありません。蜂達は途惑うばかり。途方に暮れるとは正にこんな事か。昨日になって、こうして残された蜂たちは寄り添うように行動するのでした。近くの木の枝に団子状に寄り添っています。日中は飛び回ったり固まったりと激しく動き回ります。
 こんな状態の時に近づくと危険です。蜂たちはかなり気が立っていて刺しに来ます。家を失った蜂たちは自暴自棄になっているのでしょうか。気の毒ですが、近寄らないでそっとしておくのが常套です。しかし、草刈り等で知らずに近づいて刺された方がおります。写真のKabuken氏は、2カ所刺されたとの事です。
 今日の夕方、第2弾目に到着していた巣箱を再び果樹園内に配置しました。りんごや梨の受粉のためです。さて、この残された蜂たちですが、明日になればどれかの巣箱に入っていくそうです。本来ならば自分の生まれた箱が一番良いのでしょうが、その箱はもう近くにないので、仕方なく他人の巣箱へ入るようです。
 果たして他人の巣箱内で、差別されずにうまくやっていかれるのかは私には分かりません。社会性の高い昆虫ですから、たぶん元気にやっていってくれるでしょう。
 ※写真は今日の日没頃。この時間帯になると蜂たちはかなりおとなしくなっており、こんなに近づいての写真が撮れました。

5月 302005
 

 りんごの開花直前防除時期になり、ミツバチを一旦果樹園から出したすきに一斉防除となりました。
 私の属する防除組合はSS(スピードスプレヤー)が2台しかなく、全員が2日で薬剤散布を終了するには、間髪入れない機械のリレーが必要となります。
 私の順番になったのは午前10時過ぎ。明日夕方にはミツバチを再び果樹園に入れるため、殺虫剤を散布する事は出来ません。今回は殺菌剤のみの散布となります。りんごにはアンビルフロアブルを、サクランボにはスミレックス水和剤をそれぞれ散布しました。
 サクランボへの薬剤効用として、幼果菌核病も対象病害ですが、今の散布タイミングへの疑問もあります。しかし、ミツバチを導入しているため、いくら昆虫に害が少ないとはいえミツバチが飛んでいる最中に薬剤散布は出来ません。これからリンゴの花が終了するまでの一週間程度は防除出来ませんから、今回サクランボにも防除する事になっています。
 サクランボは「落花期」となっていて、花びらが散ってきました。SSは、たくさんのノズルから薬剤を霧状に噴霧しますが、それと同時に大型扇風機で風を送って薬を吹き飛ばすようにして行きます。
 そのため、サクランボの防除後には、SSには大量の花びらが付着しました。(写真)

5月 292005
 

 サクランボは、「落花期」にさしかかっています。まだまだほとんどの花びらがくっついていますが、気温が高かったのにサクランボに立ち寄るミツバチは少なくなりました。その代わり、地面にはタンポポが盛んに咲いていています。
 洋なしの花は左写真のように満開直前になりました。咲き始めからわずか数日で一気に咲き出した感じがします。
 そこで今日の夕方、果樹園内のミツバチを撤収しました。明日と明後日の2日間で、りんごの開花直前防除(薬剤散布)とサクランボの落花期防除をする事になっています。すぐにミツバチを入れるため、今回の薬かけは、殺菌剤のみの防除となります。

5月 262005
 

今日は昨日よりも気温が上がり増毛アメダスで最高16度弱となりました。アメダスがある位置は標高が果樹園のある暑寒沢よりも高いので、おそらく果樹園では20度近くまで気温が上昇したと思われます。昼直前頃にはブヨが出てきて、サングラスの辺りにまとわりつくので頭にきていましたが、今年のブヨ(ブユ)出現は初めてか2回目で、サクランボ花粉交配にはブヨが出てくるくらいの気温でなければ、例えミツバチが働いていても肝心の花粉が成熟してこないのでありまして、煩わしいブヨ出現は歓迎すべき事かも知れません。
 サクランボの花は概ね満開か満開直前って感じです。いつもは遅く咲く「南陽」も五部以上咲いていて、これなら他品種の花粉交配がばっちりと思われます。
 気温上昇、サクランボほぼ満開とあって、ミツバチは一斉にフル活動って感じにで飛び回っています。サクランボの木に近づくと羽音が大きく聞こえきます。見上げるとあちこちにミツバチの姿が。写真は午後に撮りましたが、こんな一コマにミツバチは五匹も写っています。
 このまま降霜害でも無ければ、たくさんの実が付きそうな予感がします。でも明日は雨模様の予報で、病気発生も心配されますが・・・。とりあえずミツバチ達は日曜日まで果樹園内に設置しておくことが決まったようです。

5月 252005
 

今日の午後、果樹園を貫く道道暑寒別公園線沿いに防風林を植え付けました。 去年秋の台風は50年振りの大風となった訳ですが、その際、多くの防風林が倒れてしまい、スカスカ状態となってしまいました。
 そもそも、果樹園には防風林は欠かせません。それは単にりんごが落ちるからだけではありません。今は花時期ですが、常に風が通っている状態は結実に悪影響がありますし、冬でも寒風が吹きさらしますと、無風と同じ温度だとしても風によって体感温度が下がるように果樹に凍害をもたらします。増毛町はその地形的要因からか比較的風は緩やかなのです。他の果樹産地は、いずれも比較的風の通らない位置に果樹がありますし、増毛よりも南だからといって果樹が出来るかというとそうは限らないのです。
 比較的風が弱いとはいえ、やはり気象は気まぐれで、強風になることもあります。そこで、防風対策が必要となります。
 今回は松を植えました。増毛町の補助を受け、さらに道道ですから、道路管理者(土木現業所)の許可のもと、沿道に関わる果樹若手が出て、片っ端から植え付けました。

5月 222005
 

今日は天気良かったですが、昨日深夜にかけて雨降りました。どうも湿度が高いような気がしています。高湿度は、サクランボの場合は幼果菌核病などの蔓延が心配されます。
 それをよそに、さくらんぼは花が続々と咲いていております。ミツバチも盛んに飛び回っています。
 上部タイトルの写真を入れ替えました。元写真はこれです。蜂は動きが速いので、飛んでいる時にシャッターを切るのはなかなか難しいく、思ったような写真は撮れませんでした。

5月 212005
 

 今日は増毛アメダスで最高気温18度を超えました。果樹園に設置しているミツバチの巣箱では、気温上昇と共に、蜂たちの動きも活発になります。
 ミツバチの巣箱内には、数万匹の働き蜂がいますが、卵を産む女王蜂はたったの一匹というのはご存じの事と思います。しかし、巣箱内では、次世代女王蜂候補が育てられています。詳しい生態はこちら参照・・・蜂の雄はなんと涙ぐましい事か・・・・
 それはさておき、女王候補が育つと、巣箱内に複数の女王が存在する事になりますが、気温が高くなると、次世代女王は家を出ます。まぁ、独立するのですが、その際、約半数の働き蜂を引き連れて行きます。これを分蜂(ぶんぽう)と言います。今日、我が果樹園内の設置していた巣箱から分蜂したのを見つけました。
 分蜂した女王蜂は一度近くの木に留まりす。その周りをたくさんの働き蜂が団子状態になって興奮状態となります。このまま放っておくとやがて何処かへ飛んでいってしまいます。そうすると元の巣箱には働き蜂が半減し、採密能力が半減することになります。
 そこで、方法?・・・団子状態の中から女王蜂を見つけて潰す。次期女王を失った働き蜂達はやがて元の巣箱へ戻っていきます。
方法?・・・別の巣箱を用意して、団子状態のまま新しい巣箱へ入れてしまう。そうすると、巣箱が増えることになります。おのおのの巣箱内の働き蜂達は半分ずつとなりますが、総数は変わらないので、採密量も減りません。時間経過すれば、働き蜂達が増え出し、結果蜂の数が増えていきます。このようにして、養蜂家は巣箱を増やしています。
 どちらの方法も、この分蜂直後の団子状態を見逃さないために、暖かい日には見回りが欠かせません。写真は、G氏です。この作業ではいつも3から5カ所ほど刺されるそうです。

5月 202005
 

 ついに増毛でもサクランボの花が咲き出しました。写真は水門です。ミツも盛んに咲いています。
 今日は一日中の晴天で気温も上昇。増毛アメダスで13度を超えました。拍手?ッ!昨日は雨だったし、これまで寒かったので、13度の気温でも暖かく感じます。太陽のありがたみがこみ上げてくるようです。これに呼応するようにサクランボもやっと咲いてくれました。写真は夕方撮りましたが、月も顔を出していまして、正に「花月」状態で写っています。

5月 192005
 

 暑寒沢を貫く2本目の路、錦道路。我が家の裏手あたりに「りんご栽培の父 藤原筆吉翁の碑」があります。増毛で果樹の栽培が始まったのは明治の始め頃だそうだが、藤原氏はこの暑寒沢の大地主でもありました。増毛町教育委員会が増毛町史跡指定して立てたこの杭状の看板裏には、こんな事が書かれています。

明治六年に渡道した氏は精米業を営みつつ現在の暑寒沢を開拓していった。又増毛の地に初めてリンゴ栽培を試み今日の隆盛の基となった。この碑はりんごの父としての功績を称え大正十一年八月に建立されたものである。
指定年月日 昭和五十八年七月二十一日
指定番号 二十八番 増毛町教育委員会

一反ほどの広さの雑木林の中には石碑とお堂などがあります。私はガキの頃から、少々不気味さもあってあまり立ち入らなかったのですが、ここは今では藤原家の唯一残された私有地となっています。中の石碑には辞世の句が彫られています。しかし私には正確に読めませんけど、「大正」と「天湯果園農夫 藤原栄?」、石の右横側には「払罪 切労兵(?)藤原筆吉翁の記念」と彫られています。
近所で育ち住んでいるのに、この碑のゆかりを詳しく知らない私が紹介するのも何なんですが、増毛果樹の原点がここにあります。

5月 172005
 

本日、長沼にあります北海道中央農業試験場作物開発部果樹科より果樹専門担当官らが来園され、昨年の台風で倒木したりんごの木の状態などを観察されていきました。
 昨年9月の台風で倒木後、数日で起こし上げたりんごの木ですが、そのダメージがどのくらいの後遺症として現れるかとの調査でしたが、まだ芽が少々しか出ていない段階での判断は出来なかったようです。
 この際、いろいろお話を伺いましたが、他果樹産地の生育状況も増毛同様で、10日以上の遅れと言うことでした。約10年前にも同等の生育遅れがあり、このまま推移するとサクランボの収穫は7月中旬?お盆頃までとなるのかも知れません。

5月 172005
 

5月15日書き込みの黄色い胸を持つ小鳥ですが、昨日、軽トラのガソリンを入れるべく増毛日石に行きました。このスタンドの中には増毛山岳写真などが展示していまして、N氏にこの件について尋ねたところ、「北海道の野鳥」(北海道新聞社)の本を貸してくださいました。
 この本で調べましたら、青い鳥は「オオルリ」・「コルリ」であることは間違いありません。ただ、大きさが微妙ですから、どちらかは私には限定できません。
 黄色い方の鳥は今日になってやや大きくはっきり写すことが出来ました(右写真)。これにより、この鳥は「キビタキ」であることが判明しました。この鳥はヒタキ科に属し、平地から低山の落葉広葉樹林、針広混交林に生息。葉の茂る前だと姿を見かけるが、葉が茂ると見つけにくくなるらしいです。参照1参照2
 尚、「ヤマガラ」はシジュウカラ科ですので、種族が違うことも知りました。
♪「キビタキ キゥイ パパイヤ マンゴだね」って曲がありましたなぁ。

5月 162005
 

 今日の夕方、予定通りミツバチの巣箱約200箱を暑寒沢果樹園内に一斉に搬入しました。
 5月13日到着したミツバチを暑寒沢や黒岩地区果樹園十数カ所に巣箱8?14箱ずつ手分けして置きました。サクランボの花の状態は右の写真のように、早いものでもまだ全然咲いていません。しかし、薬剤散布が一通り終わっている事で遅くする理由もないことから、今日の搬入となりました。
 今日の増毛は一日中晴天で、暑寒別岳がくっきりまぶしく見えておりました。しかし、ご多分に漏れず気温が思うように上がりませんでした。(増毛アメダスで10度以下でした)梅の花はかなり咲いていますが、サクランボの開花はまだ数日かかりそうです。道ばたにタンポポが咲いているのを発見しました。
 果樹園に放されたミツバチ達ですが、花らしい花が少ない状態です。サクランボの開花を心待ちにしているのは我々園主ばかりではなく、ミツバチ達も同様だとおもいます。

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