11月 072007
 

 本日19時から増毛町文化センターで上映されたプロパガンダ映画娯楽映画「日本の青空」を見ました。
 増毛での上映は本日ご丁寧に3回も上映だそうで、ずいぶんご苦労様です。19時の部には、約11万名80名ほどのお客が入っていました。入り口で「憲法9条、未来をひらく」9条の会の冊子も配られておりました。
2007-11-07.jpg 映画のあらすじは省略します。(日本の青空HP参照
 感想をお聞かせ下さいアンケートも配られましたが、暗かったし机も無かったので書けませんでしたので、このブログに書かせていただきます。率直な感想として、プロパガンダにしては弱いと思いました。しかし、「つっこみどころ」は数々ありました。白州次郎が少々登場しますけど、GHQから「君は英語がうまいね」に対して次郎は「君も勉強すると英語がうまくなるよ」と言うシーンがありますが、次郎役の英語は全く堪能ではありませんでしたし、おそらく次郎の英語はイギリスのネイティブイングリッシュだと思うんですが、イギリス特有の発音も全く聞かれませんでした。
 また、松本草案のシーンで次郎が松本案は甘すぎるとの指摘に松本氏が「そんなことすれば私は右翼に殺される」とセリフされていたんですけど、白洲次郎語る本には「右翼」なんて言葉は出てきませんよ。(白洲次郎―日本で一番カッコイイ男 (KAWADE夢ムック)p.45下段)。
 憲法草案と言うテーマで語られていますが、後半くらいまで「天皇」だったはずが、唐突に「不戦」とか9条に話しの中心が移っていきました。白洲次郎の本でさかんに語っていた「symbol」が「象徴」となった経緯は出てきませんでした。
 鈴木案で戦争放棄とか軍隊などの提起はありません。シーンでは鈴木の妻が書かないことも書いてあることと一緒みたいな流れで、あたかも鈴木案は現9条推進派との描き方していましたが、本当はどうなのか凄く疑問でした。
 また、鈴木案がGHQ案のお手本となった証拠の場面はほんのちょこっとで過ぎ去りました。現実はGHQが鈴木案を手本とした確証は無いのではないでしょうか。もし、日本人案をお手本としたならば、GHQは「もともと日本人が草案した」と宣伝するはずですよ。白洲次郎の本を読む限りは、そういうことは全く出て来ません。
 安倍前首相が「現憲法はアメリカの押しつけだ」に対して、映画まで作って反駁するエネルギーは相当のもので、私は大変感心しました。相手の単純な一言を否定するためにはその何倍何百倍ものエネルギーが必要な事ってありますよねー。映画の製作大変ご苦労さまでした。
 この映画では結局「9条」はすばらしい、と言いたかったんだなと思いましたが、戦争放棄が鈴木案には無かったので、この映画ではやっぱり「押しつけられた」を反駁する事が出来なかったと思いました。
 映画全般として、反体制といいますか政府はどちらかと言えば悪者と言うかそんな感じになっていますし、ラストシーンは9条の会の集会でしめくくられていて、思想性の中立ではありません。
 今回の上映には、増毛町や増毛町教育委員会が後援されているようですし、パンフレットには「北海道教育委員会選定」とも書かれています。純粋に「娯楽映画」であればまぁ、問題は無いと思いますけど、制作側は「日本国憲法の真相」とうたっていまして、ドキュメンタリータッチなのです。エンドロールには協力団体がずらずら出ていまして、各地の9条の会や教職員団体とか労働団体が沢山出てきました。
 言論の自由の観点から、このような活動や映画の上映は大いに結構なのですが、中立であるべき教育委員会など公の機関が、この映画にお墨付きを与えているのはどうなのかとても疑問に思いました。
 この映画で肝心の9条の出来た経緯はあまり描かれていなかったと思いますが、登場していたGHQ民政局のケーディスなんですが、ジャーナリスト古森氏が後にインタビューして居るんですね。そのブログも参照してください。映画より参考になります。
 
古森義久氏「ステージ発
 憲法第九条をアメリカからみるとーー
 「誰が日本の憲法を書くべきか、わからなかった」??ケイディス会見から(2)
 「憲法の『天皇は日本国の象徴』は私たちが作り出した」ーー ケイディス会見から(3)
 「日本の『自衛禁止』は私が削除した」ー―日本憲法を起草したケイディス氏の会見から(4)
 「憲法第9条の基礎は黄色い紙だった」??ケイディス会見から(5)
 「憲法第9条の芦田修正は私が一存で認めた」ーーケイディス会見から(6)
 「憲法9条の『交戦権』とはなにか、知らなかった」ーーケイディス会見から(7)
 『憲法9条の真の目的は日本の永久武装解除だった」ー?ケイディス会見から(8)
 「憲法第9条は誰の発案なのか」ーーーケイディス会見から(9)
 「憲法第9条は米国からみて賢明ではなかった」??ケイディス会見から(10)
 日本の憲法はアメリカが作ったーーケイディス会見から(11 最終回)

11月10日追記:
 今またこの映画について考えると、製作者は「事実に基づく」を強調したかったと思いますけど、日本人の草案をお手本にした事実の検証が甘く、こうだったらいいなぁとのファンタジー映画であったかと思います。
 いろいろブログを拝見すると、これが事実と思い込んでいる方が大半ですが、映画は映画です。古森氏のケーディスインタビューでも日本人案を基礎にしたなどは一切出てきませんでしたからね。
 映画見て真実を悟るべからず 参照:THE FAKE OF NANKING

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